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2016.06.16

お葬式の中心人物はだれでしょうか?

お葬式の中心人物は“僧侶”!?

「お葬式の中心人物は、①喪主 ②故人 ③僧侶 ④会葬者 ⑤葬儀社の五者のうち誰でしょうか?」
この質問は、わたしが講師を務めるエンディングセミナーにおいて、いつも参加者の皆さまに尋ねているクイズです。
読者の皆さまは、どう思われるでしょうか。
このクイズの正解は、お葬式を“宗教儀礼”として考えた場合、③「僧侶」が葬儀式の中心人物です。お葬式の中心人物が「僧侶」と聞かされて、驚かれた方が多いのではないでしょうか。
実は、お葬式は“宗教儀礼”として、各宗派の教義に則り行われますが、この時、僧侶の役割は、“導師”として、故人の霊を「この世」から「あの世」に導くことなのです。
但し、浄土真宗の場合、故人が阿弥陀如来の本願を信じれば、すぐに浄土に生まれ変わるという教義なので、故人を「霊」の存在として捉えません。
 

信仰という大きな力が故人を守る

宗派によって違いはありますが一般的な日本仏教の考え方は、故人は、僧侶から戒名を授かり、仏門に帰依します。そして、ご本尊(祭壇)のもとで、僧侶の導きによって故人は「この世」から「あの世」に旅立つのです。
ですから、お葬式の場とは、出家した故人が、浄土に往生、悟りを開いて成仏するために、新米の僧侶として修行に励んでいると考えることができるのです。
それでは、なぜ、故人は死後、故人の意思に関係なく、仏門に帰依する必要があるのでしょうか。
それは、信仰によって人間の能力をはるかに超える“大きな力”が故人を守ってくれると、遺族が信じることができるからです。
そして、僧侶は、ある意味では、超能力者として「この世」と「あの世」を結びつけているのです。
この“宗教儀礼”によって、遺族は、故人が「あの世」に生まれ変わっていることがイメージできれば、故人との心のつながりを保てるのです。
 

故人と遺族とのコミュニケーション

仏壇は、その中心にご本尊をお祀りしているように、“信仰の証”と言えます。しかし、多くの人はご本尊を礼拝しながらも、心の中で故人に語りかけているのではないでしょうか。
現在、お骨を砕いたり、粉末状にしたりしてミニ骨壺やペンダントに収納し、供養する人が増えています。
これは、宗教者を介さない、自然宗教的な儀礼であり、大自然(宇宙)と一体化した故人とのコミュニケーションと言えるでしょう。
まさに、故人が自分を見守ってくれると感じられる“守護神”の役割を果たしているのです。
 

「あの世」での再会の希望を失う

昔は、冠婚葬祭などの儀礼は、地域の共同体によって行われていました。
現在、地域社会における人間関係の希薄化によって、相互扶助の基盤となる“生者の共同体”が崩れようとしています。
また、宗教の信仰も教団としての活動から、スピリチュアリィと呼ばれる個人的活動に移り変わっています。
それに伴って、“死者の共同体”としての「あの世」意識も薄らいでいるのです。
そして、この宗教観の変化により、現世「この世」がすべてとなり、いつか「あの世」で、最愛の人と再会できるという希望とその場所が失われているのではないでしょうか。
 

葬儀の主体はひとりではない

実は、冒頭のクイズの答え、葬儀の中心人物、すなわち主体は、ひとりではないのです。
これは、葬儀を“宗教儀礼”という部分ではなく、葬儀が担っている社会的、文化的、心理的な機能全体で考えた場合です。
そうすると、葬儀の主体は、「あの世」に旅立つ“故人”、葬儀の責任者(祭祀継承者)である“喪主”、儀礼を執行する“僧侶”、故人を想い遺族を支える“会葬者”の四者といえるでしょう。
そして、葬儀社は、葬儀の裏方として、この四者をサポートしているのです。.


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