2016.12.23
エンディングノートが書けない理由
終活ブームの象徴「エンディングノート」
人生の終わりに向けての準備活動「終活」が一大ブームとなっています。
その終活ブームの象徴といえるのが「エンディングノート」でしょう。
現在、書店に終活のコーナーが設けられるくらい多種多様なエンディングノートが発売されています。
自分史、老後の資金計画、相続、介護、終末期医療など、エンディグノートによって重視するテーマやその内容はさまざまです。
平成24年4月に経済産業省から発表された「ライフエンディング・ステージ」に関する報告書において、調査対象者約4000人の63.5%がエンディングノートの存在を認識していますが、実際の作成経験はそのうちの2.0%に過ぎないのです。
エンディングノートは買ったが、書き始めることが出来ない人が多いのではないでしょうか。
これでは終活が一時的なブームに終わってしまうでしょう。
今の人生が永遠に続くという感覚
何故、エンディングノートを書き始めることができないのでしょうか。それは、たびたびマスコミが取り上げるから、エンディングノートに興味が湧いたが、今すぐ書き始める必要性を感じていないからではないのでしょうか。
誰もが頭の中では、人間の死亡率は、100%として理解していても、その100%の中に自分が入っていないのです。
精神科医のフロイトが指摘したように、大病でもしない限り、人間は心の奥底で自分は不死だと信じているのです。
確かに、人間は生まれた時の記憶もなければ、死んだ経験もないわけですから、今の人生が永遠に続くという感覚は、当然のことかもしれません。
バックキャストという考え方
それでは、どうしたらエンディングノートを書き始めることができるのでしょう。
それは、自分の死を意識することです。
逆説的な考え方ですが、自己の有限性を認識するからこそ、自分が今なすべき大切なことが見えてくるのです。
ここで重要なポイントは、バックキャストという考え方です。
自分の死を想定して、その死の時点から現在にバックキャスティング、すなわち現時点に立ち戻って、残りの人生において実行すべき課題を明確にすることです。
もし、カーナビゲーションに目的地を入力しないでドライブをしたらどうなるでしょうか。
カーナビの位置情報しか利用できず、無駄の多い旅行となることでしょう。
人生の最期を思い描く
人生はよく旅に譬えられます。人生の完成期を旅するにあたって、まずゴール(目的地)をイメージします。
これは、他界である極楽浄土を思い描くことではありません。
また、最期を迎える病院の一室という場面だけではありません。
最期を迎えるとき自分を取り巻く環境、「生活の全体像」をイメージすることです。
心理療法の一つに「ライティングセラピー(体験物語)」があります。
その手法に「遺書を書いて自分を知る」というものがあります。
まさに、バックキャストです。
「死期が迫ってくる」というイメージを思い浮かべ「遺書」を書き上げるのです。
そうすると、自分の本当の思いや良心にしたがい、過去の間違いに気づき、これまでの人生を後悔するかもしれません。
しかし、この間違いには、やり直す可能性が残されているのです。
そして、この内省を契機として、今の自分を変えていこうという意識をもてれば、自然とエンディングノートを書き始めることができるのです。
現在の自分を大切にする
自分自身を見つめ直すために、もう一つ役に立つ心理療法があります。それは「マインドフルネス瞑想」です。
この心理療法は、釈迦が悟りのために行ったインドの初期仏教に由来する瞑想法です。
この瞑想法が欧米に伝わり、仏教文化の強い影響を受けている日本に、心理療法として逆輸人されているのです。
とくに、認知行動療法の分野において注目されています。
心理療法なのでその効果には、個人差がありますが、ストレス社会の現在、自分の心や体の変化に自然に気づくことができ、心の健康を維持するためにも、また心の健康を取り戻すためにも役に立つように思います。
エンディングワークは、人生の意味を探索するために、過去や未来に焦点を当てるだけなく、“現在の自分を大切にする”ことも重要な課題です。
なぜなら、エンディングワークのための最適な環境を整えることに繋がるからです。
自分の人生を俯瞰する
そして、当然のことながら、ライフレビューも価値ある心理療法の一つです。人生を振り返るとは、過去の事実をただ単に羅列することではなく、自分にとっての意味ある人生の物語を創り出すことです。
そして、人生とは、過去の自分の生き方を解釈して、現在の自分の存在を確立する、そして、希望を持って残された人生を見つめ直すことが大切だと思います。
過去、現在、未来と自分の人生を俯瞰すれば、一日一日を大切に生きることができるのではなのでしょうか。
エンディングノートは、書くこと目的ではなく、行動することが大切です。
そして、エンディングワークをライフワークまで高めることができれば自然とエンディングノートに向き合うことができると思います。
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