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2016.06.30

葬儀と告別式の違い

葬儀と告別式は同じ意味?

インターネットで、お葬式のマナーのサイトを見ると、“通夜・告別式”という表現が目に入ることがあります。
これは、「会葬者の立場」から、「いつ弔問や会葬に出掛ければ良いのか?」という疑問に対するアドバイスに用いられたりします。
例えば、『最近は、“通夜”に弔問する人が多く、翌日の“告別式”に会葬する人は少ない』という使い方になります。
しかし、最近は、この“通夜・告別式”という表現が、葬儀の小規模に伴い「遺族の立場」においても使われ始めて、葬儀=“告別式”という誤解が広まっているように思われます。
 

葬儀の定義とは

葬祭ディレクター技能試験の参考書として、「葬儀概論」があります。
この書籍に解説されている葬儀の定義は、「葬儀とは、狭い意味では「葬儀式」(葬式)を指しますが、広い意味では『葬送儀礼』の略です。つまり臨終から死後の喪に至るまでの、(中略)一連の儀礼のことを表します」。
ですから、葬儀に参列するという狭義で考えれば、葬儀=葬儀式(葬式)となるのです。

葬儀と告別式の違い

葬儀と告別式は、通常、一つの式典において、続けて行われるので、その区別は分かりづらいと思います。
その違いを説明すれば、“葬儀”とは、故人の霊を「この世」から「あの世」に送るという宗教儀礼であり、僧侶が儀式の中心となります。(参考コラム「葬儀の中心人物は誰なのか?」
そして、“告別式”とは、友人、知人が故人に別れを告げる社会的儀礼なのです。
葬儀の歴史を振り返ると、“告別式”は、自由民権運動の理論的指導者でとして有名な明治の思想家、中江兆民の葬儀に由来すると言われています。
兆民は、無神論者であったため、献体(解剖)、無葬式を指示する遺言を残しました。
この遺言を受けて、明治35年、友人の板垣退助は亡くなった兆民のために「別れを告げる儀式」のみを行ったのです。
これが告別式の始まりと言われています。
 

“直葬”も立派な葬儀となる

このような理由から、“通夜・告別式”という表現は、明らかに葬儀の本質からは、外れていることになります。
しかし、葬儀が小規模化と簡略化傾向が進み、「家族葬」が一般化したうえに、さらに家族関係まで希薄化することにより、もし、葬儀の施主が“家族”という2人称の立場から、“他人”という3人称の立場に近づけば、葬儀=告別式という図式が成立するかもしれません
。例えば、行政が行う行旅死亡人などの葬儀では、遺族が立ち会わないことも多いのです。
また、時々“直葬”すなわち葬儀会館などの霊安室からの出棺は、葬儀ではないと言われることがあります。
しかし、“直葬”であっても、家族が一心に故人の冥福を祈り、霊安室あるいは火葬場において、僧侶が“宗教儀礼”を行えば、それは立派な葬儀だと思います。
 

「生前葬」は生前に行う告別式

終活ブームが広がる中で、「生前葬」が注目されるようになりました。
元気なうちに、友人や会社の同僚、お世話になった人たちに「感謝の気持ち」を伝えたいというのは、自分の人生を振り返るときに生じる、自然な感情のように思います。
自分の死後では、遺族の言葉を通さないと、お礼を伝えることができない。
それなら、生前に「告別式」を行うことが選択肢として選らばれようになったのです。実際、交友関係が幅広かった人の葬儀を家族葬で行うと、友人の有志が発起人となって「お別れの会」が行われることがあります。
すなわち、故人を取巻く“社会”が「家族葬」という閉じられた“葬儀”では納得できないのです。
現在、“通夜・葬儀”を“通夜・告別式”と表現する時代になりました。
有史以来という、葬儀の長い歴史において、葬儀の変化は、その“本質”は変わりにくく、“周辺部”が時代の変化に伴い、大きく変わって来たように思います。
今後、葬儀の変化が“本質”に係わるものでないことを願うばかりです。
 

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